【香川旅行記】③ヤマロク醤油蔵見学
登録有形文化財のヤマロク醤油蔵見学
続いて向かったのは、ヤマロク醤油。
創業は正確な記録は残っていませんが、150年くらい(江戸時代の終わり頃~明治の初め頃)の歴史ある醤油屋です。搾る前の「もろみ」を卸販売する「もろみ屋」から始まり、昭和24年に三代目が醤油を搾る圧搾機を導入して醤油屋になりました。
塩作りから醤油造りへ
現在小豆島には大小20軒弱(明治の最盛期は大小約400軒)の醤油メーカーがあります。元々小豆島は江戸幕府の天領(直轄地)として塩づくりが栄えた島ですが、その後塩を使った二次加工としての醤油造りが盛んになりました。
ヤマロク醤油の味を作る「大杉のもろみ樽」と「菌を纏ったもろみ蔵」
ヤマロクのもろみ樽は、三十二石(約6000リットル)の大杉樽を使っています。一つ一つが手作りなので大きさは多少違いますが、直径約2m30cm、高さ約2mの大杉樽が40樽。3分の2から半分の大きさの樽が34樽あります。樽職人さんの目利きでは、使い始めてから既に150年以上経過しているものもあるそう。
木の樽はおいしい『もろみ』を育てるゆりかごのようなもので、空気や水を通しながら、乳酸菌や酵母菌たちを育て、木の樽でしか出来ない味を生み出します。
呼吸する蔵
ヤマロク醤油のもろみ蔵は100年以上前(明治初期)に建てられた蔵で、国の登録有形文化財(第37-0182~0184)に指定されています。木造平屋で土間、土壁には百種類という酵母菌や乳酸菌たちが暮らしており、蔵自体がまるで生きもののように呼吸しています。なので蔵を大きくしたくても建て替えがききません。蔵を新築しても菌たちがいなければお醤油をつくることはできないのです。その為、風化して崩れ落ちた土壁は、新しい土と練り合わせ、元の場所に戻してあげるなど壊れたところは少しずつ補修して現代まで大事に受け継がれています。
瀬戸内式気候と寒霞渓が生み出す風
加えて醤油作りにとって大事なポイントが気候です。
ヤマロク醤油は小豆島の東側。内海湾から寒霞渓に向かう山の麓に位置しています。瀬戸内の島の中で最も高い山々が周囲を囲み、南には穏やかな内海湾が広がっています。
小豆島は地中海性気候に似た、温暖小雨の瀬戸内海式気候で雨が少なく日照時間が長く空気が乾燥していることが特徴です。小豆島が誇る寒霞渓の山々は太陽熱を吸収しながら上昇気流を生み出し、独特の暖かく乾いた風をつくり出します。この類まれな風が、醤油醸造における酵母菌や乳酸菌の発酵に最適な環境を育んでいます。
小豆島の特産である手延べ素麺やオリーブなども、この山が生み出す風によってつくり出される芸術作品です。
蔵見学で感動
蔵の見学は無料で予約なしででき、若いスタッフの方に蔵をご説明していただきました。蔵の菌と木と大豆の匂いが混じった独特の匂いが印象的で、150年ものの菌がたっぷり付着した桶はそれだけで国宝ものだと感じました。
もろみ樽も上から見させていただき、貴重な経験をさせていただきました。
桶屋もやっています
醤油桶の桶屋が日本に残すはなんと1軒だけで、ヤマロク醤油では、醤油桶を絶やさないために自ら知り合いの大工さんと二人で桶屋に修行に行き技術を習得し、桶屋を始めたそうです。醤油蔵を継承する熱い思いが感じられます。
その思いは醤油にも現れており、試食した醤油は深みがありまろやかで、そのまま舐めていたくなる味わったことのない芸術的なお味でした。
ヤマロク茶屋で醤油スイーツを楽しむ
ヤマロク茶屋という、珍しい醤油プリンやアイスの醤油がけ、もなかアイス、焼き餅などがいただけるイートスペースもあります。
私は醤油プリンをいただきましたが、上にのった黒豆と塩気のある甘いプリンが新感覚な和風デザートになっていて美味しかったです。
醤油店を出発すると船の出発の時間が迫っており、レンタカーを返却し、高速船で高松港に戻りました。あっという間のプチ小豆島観光楽しめました。
次回は夏に一泊でゆっくり回りたいなと思います。
ヤマロク醤油ホームページ